2月末。
解禁を待つ渓流釣り師にとって、ワクワク楽しい時期のはずですが、私はとても憂鬱です。
それはなぜか。
そう、スギの花粉が飛ぶからです。
アレルギー検査では、スギ、ヒノキ、ハウスダストに強い反応が出ます。
山間部で釣りをする者にとって花粉症は致命的です。
釣りに行った日は鼻が詰まって息もできず、目も真っ赤になって痒くなり最悪の状態になります。不快な症状に機嫌が悪くなり家族にも不評です。
花粉症とは30年近くの付き合いになります。
もともと小さい頃から鼻や耳の症状がありました。
しかし、私の田舎には近隣に耳鼻科がなく、くしゃみ、鼻水などの症状が続いても風邪のせいだろうと言ってまともに治療していませんでした。
それでも小学校4年生くらいの頃、夜になると鼻水が止まらずまともに眠れない状態が続いたため、30キロ程離れた町の耳鼻科にかかった事があります。
その時は風邪でもないし、蓄膿症などでもないので原因がわからないと言われ、「自律神経の不調からくる神経性鼻炎」であろうとの診断を受け、頭部に針を打って電気を流したり、霧状の薬を吸入したりする治療を受けました。
しばらくすると症状も消え、耳鼻科にも通わなくなりましたが、今思えばその時既に花粉症を発症していたのかもしれません。たまたま飛散が多い年に症状が強く出て、飛散の終了とともに症状が治まっただけだったのではないかと思います。
なにぶん田舎の事ですし、当時は花粉症と言う病名は今ほどポピュラーではなかったので、医者にも判断がつかなかったのでしょう。
その後、しばらくは治まっていたように思いますが、症状が酷くなり、はっきり花粉症だと診断されたのは高校3年生の時。卒業から大学入学までの一ヶ月間、森林組合に勤務する親戚について杉山を測量するアルバイトをした時です。
たしか高校の卒業式が3月5日でしたから、スギ花粉の飛散も最盛期でした。
茶色く色づいた杉林から朝霧のように花粉が上る恐ろしい光景を今でも鮮明に覚えています。
マスクもメガネもなく、薬も飲まないまま花粉の発生源で仕事をするわけですから、当然症状も悪化しました。どうにも我慢ができなくなって、近くの内科で見てもらったところ、すぐに花粉症であると診断されました。
(いかに田舎でもその頃には花粉症も市民権を得ており、患者も増えていました。)
それから約20年、田舎から出てきて生活や空気が変わったことによって症状も年々重くなっていきました。
現在の生活圏はアスファルトに囲まれていて花粉が舞い上がりやすい状況にありますし、黄砂や大陸からの汚染物質の影響を受けやすい土地柄も影響しているかもしれません。
何とか症状を改善しようと、これまでも花粉症に効くと言われる甜茶や紫蘇茶、ヨーグルト、生姜などを試してみましたが思うような効果は得られませんでした。また、レーザーで鼻の奥の粘膜を焼くという手術も受けましたが、術後しばらくは良かったものの、数年で粘膜が再生して元の状態に戻ってしまいました。
現在は、1月末くらいから比較的副作用が少ないとされるアレグラという薬を飲みはじめ、シーズン中は極力マスクをするようにしています。また、昨年からはアラミストという点鼻薬を処方してもらい、鼻の症状については随分緩和されてきました。
それでも完全に治癒するものではありません。
一度発症した花粉症は一生治らないのがどうにも悔しいところですが、今のところは対症療法でこの季節を切り抜けていくしかないようです。
最近は花粉症の根本的な治療法として舌下減感作療法なるものが研究されているようです。
花粉のエキスをしみこませたパンを口に含んで徐々に体を慣らしていく治療とのことで、改善率も高いようなので、早く実用されないかと心待ちにしています。
九州の渓流は明日一斉に解禁します。
渓に立てば症状が出るとわかっていても、我慢できずに渓に出かけてしまう私はやはり意志の弱い「釣りキチ」なのでしょう。
世の中に たえて花粉のなかりせば エノハの釣りはのどけからまし今年の春もマスク姿で渓に立ちます…(笑)
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