水音に誘われて

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あおしがき

日曜は新米をもらいに実家に帰省していました。

この時期になると無性に食べたくなるのが「あおし柿」。
私の実家国東では、渋柿の渋を抜いて甘くしたものを「あおし柿」と言います。

渋を抜く方法は干柿、樽柿など各地に色々な方法がありますが、私の実家では
風呂を使って一晩で渋を抜いてしまいます。

今回は、この「あおし柿」を紹介したいと思います。

「あおし柿」に使う柿は「おべん柿」という種類で、国東半島一帯で昔から食べ
られている小粒の渋柿です。豊後高田の黒土というところが発祥で、現在でも原
木が残っています。

おべん柿の由来は…。

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昔、豊後高田の真玉、黒土におべにさんという老婆が住んでいた。
ある日、ひとりの僧がこの地を訪れ水を求めたところ、ただひとりおべにさんだ
けが優しく僧をもてなした。すると、僧はそのお礼に3粒の種を手渡し立去った。
その後、おべにさんがその種を蒔いたところ、見事な柿に成長し、たくさんの実
をつけるようになった…。

****************

話中に登場する旅の僧は、六郷満山寺院を開基した仁聞菩薩。「おべにさんの柿」
が訛っておべんさの柿、『おべん柿』となったそうです。

旅の僧がお礼に川に榎の葉を流したら斑模様の魚になった…。
とはエノハの名前の由来の一節ですが、日本中に似たようなパターンの話は沢山あ
りますね。

さて、祖父が豊後高田出身だったからなのかどうか今ではわかりませんが、以前は
実家のみかん畑の端に植わっていたのですが、みかんの木とともに切ってしまった
ので、今回は、妹に頼んで近在の農家から調達してもらいました。

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豊後高田の農家の屋敷周りのおべん柿。今でもたくさん植わっています。

13102101.jpg

まずは、実家での昔ながらのやり方を紹介します。

 1.おべん柿5k程度を厚手のビニール袋に入れ、湯飲み半分の焼酎と
   塩一掴みを入れます。

 2.「1」のビニール袋に人間が入るよりも少し熱めの湯を入れ空気を
   抜いて口をきつく縛ります。

 3.その袋ごと風呂に漬け、家族が入った後も湯を抜かずに朝まで浮か
   べておきます。

これだけで翌朝には甘くなっていました。

福岡に来てから何度か試してみたのですが、思うように渋が抜けませんでした。
確かに母や祖父がやっていたとおりにしていたはずなのですが…。

しばらく理由が分からなかったのですが、大分の姉から発泡スチロールや保温ジャ
ーを使う人もいると聞き、思い当たったのが温度管理。

なるほど、実家の風呂は薪で下から焚けるようになっていますので、風呂釜自体
が温まり、渋を抜くのに十分な保温能力があったのに、ガスで沸かした湯を補充
するタイプの都会の風呂は十分な熱を与え続けることができなかったのでしょう。

いろいろ調べてみると、渋抜き(実際にはタンニンを変質させる?)には熱や
アルコールなどで柿に一定時間の適度なストレスを与えれば良いようです。

それなら、なるべく長く適温を保てるようにしてやれば良いはずです。

そこで、今回は長時間の保温が可能ということで、釣り用のクーラーボックスを
使ってみました。

持って帰ってきたおべん柿2kgを洗い、しばらくお風呂に入れて充分温まっても
らいます。

以前はやったときはそのままお湯を入れていたのですが、冷えた柿で湯温度が下が
ったのが失敗の一因であったような気がしていました。

13102103.jpg

今回は、充分温まった柿に手が入れられるかどうかの熱めのお湯をかけ、焼酎と
塩少々を入れてしっかり蓋をしました。

そして翌朝…。
しっかり甘くなっていました!

13102104.jpg

甘柿とも熟柿とも違う、なんとも言えない懐かしい味です。

亡くなった親父も甘柿は食べませんでしたが、このあおし柿だけはよく食べて
いました。昔は10月末の地域の運動会(町民大会)には、梨や栗とともにこの
「あおし柿」を持って行ったものです。

さてさて、これでまた一つ消え行く田舎の文化を娘達に伝えることができます。

おべん柿でなくても小ぶりの渋柿であればできるはずです。

興味のある方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?美味しいですよ!
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プロフィール

明太子(^^)

Author:明太子(^^)
春と秋は渓流のフライフィッシング、夏は鮎の友掛け、晩秋から冬はダゴチンや海のフライフィッシング。年間通じて魚を追いかけています。
フライフィッシングは大好きですが、料理も食べる事も大好きなので、いわゆるC&R派ではありません。フライで釣った魚を食べることに抵抗のある方もおられると思いますが、その点は予めご了解ください。

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